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美貌至上主義、快楽至上主義の時代

娘が政治の道具だった当時、王朝の父は性格がどうのこうのでなく、迷うことなく娘に美貌を望んだ。「いい女」「モテる女」「そそる女」を養成した。念には念を則し、娘だけでなく、娘に仕える女房たちにも美しく才能のある者を厳選した。娘のところへくれば「楽しいこと心地よいことが待っている」とミカドに感じさせるため、今でいうならタレントやミュージシャンや作家といった類いの女たちで娘のサロンを盛り上げた。父親というと、娘をほかの男にとられるのがイヤでたまらぬ存在と考えられがちだが、王朝の父は率先して娘を「男がセックスしたくなる女」に仕立て上げていた。だから平安時代はそれ以前や以後と比べると、ファッションや美容法、化粧品も格段に発達した。髪をまとめて活動的にしていた大和・奈良時代と違い、平安の貴族女性はワンレンのロングヘアという男好みのヘアスタイルに固まる。脱がすのがいかにも楽しそうな十二単、官能的な香りを放つ薫物、特権階級にしか手に入らない高級化粧品。目に鼻に耳に肌に、心地よさを求めて。極めっきの美貌至上主義、快楽至上主義が時代を覆っていた。
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