庭には樹木や草をかってにぼうぼうとはやして、ときおり庭にでてみると、おもわぬ草花や虫などを発見し、小さな生命とのふれあいに心なごむことのほうが、よりこのましくおもわれるようになる。手入れのゆきとどいた公園より、自然の雑木林をこのむ心境である。つまり、庭の本質は、築山山水庭より雑木庭にある、というわけだ。ただそのばあい、樹木や草はのびるにまかせて、刈りこみなどの手いれをやらないが、まわりの垣や塀をととのえておくことだけは大切である、と氏はいう。
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その理由は、まず第一に、雑然さの美学のなかにも節度と緊張感が必要だということにある、とおもわれるが、もうひとつの理由は、人は庭というとすぐ木や石に心をうばわれがちだけれども、視覚的には、借景となるこれらの垣や塀が、視界のなかでいちばん大きなウェイトをしめる、というのである。たしかに、大きなスペースのとりえない私たちの住宅の庭では、いわれてみればそのとおりだろう。垣や塀のデザインが、まわりと不調和なものにならぬよう細心の注意をはらえば、庭はエコロジカルな自然のままにおくのがよいというのは、ひとつの卓見かもしれない。