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手抜きがバレないかとピクピクする下請け業者

昭和四〇年代の手抜きマンションを見ると、実際に欠陥が露呈したのは五年から一〇年たった後だ。だから、バブルのときに建てられたマンションや、現在建築中のマンションに手抜きがあるとしたら、その欠陥が露呈してくるのはやはり五年から一〇年たってからということになる。われわれ業者の間では、手抜きして得た利潤よりも手抜きがバレてクレーム処理に使う費用のほうがはるかに高いことを経験上よく知っている。最近こんなことがめった。3LDKのマンションを購入したお客さんがいたが、トイレの排水の音が気になって仕方がない。音は上の階から伝わってくるという。専門業者を呼んで調べてもらったが、あまりにも巧妙になっていて結局原因がわからなかった。気にしなければそれですんだかもしれないが、住人が神経質な人だったために「音が聞こえないようにしてくれなければ訴える」とゴネられた。こういう人にはわれわれも弱い。そこで上の住人と交渉して1ヵ月問引っ越してもらい、トイレの排水管を取り替えたのである。その費用はもちろん私の会社が負担。新しいマンションに引っ越すための権利金、敷金、家賃、引っ越し代、工事費など相当な費用を支払ったのはいうまでもない。だから、赤字さえ出なければ設計図どおりに施工したいのはやまやまなのだが、どんなに安く見積もっても赤字が出るとなるとそうも言っていられない。コストダウンの行き過ぎから次々と欠陥が露顕してくればわれわれの死活問題にもなりかねない。われわれ下請け業者もピクピクしているのだ。