適齢期とは、ひとつは自分のアイデンティティが定まる時期であると私は思う。そしてもうひとつ、自分のアイデンティティが定まるとともに、そこでは親からの心理的離乳がすんでいなければならない。親元を離れ、一人暮らしをしているCさん(二十六歳)がつき合っていた恋人も、親からの心理的離乳を終えていなかった例である。Cさんは三か月後に迫っていた挙式を突然キャンセルした。ここ一、二か月の婚約者の行動が気になったからである。式場の予約、打ち合わせ、新居探しには必ず母親がついてくる。Cさんの意見を無視するわけではなかったが、彼の意見はほとんど母親の口移しで、まるでCさんと彼の母が相談して決めているようだった。しかし彼には、自分が乳離れできていないという意識はなかった。たしかに彼の母親は息子を甘やかしたり、特別な目で見ることもなかったから、それだけ根は浅いといえた。
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青山の結婚式場ル・アンジェ教会
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「でも、このままでは結婚できない」と思ったCさんは、ついにこれまで感じていた不満をあらいざらいぶちまけた。彼はショックを受けたが、Cさんのいうことをよく理解し、結婚を白紙に戻すと同時に、いろいろと努力を始めたのである。自分のアイデンティティが定まり、かつ親に依存しないで自分のことが自分で処理できる。心理的にも経済的にも自立する。そのためには自分に合う職を探し、得ることが不可欠である。Cさんの婚約者は、そうした条件がいまだ整っていない、不適格の状態にあったのである。カウンセリングの分野でも、学生が適職に落ち着くためのキャリアーカウンセリングが求められることが多くなっている。定職に就いて人生における自分の役割を固めようとせず、その場その場で収入を得ているフリーターのような状態を続ける限りは、心の適齢期を迎えることにはならない。